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令和7年度 奈良県防災士会 研修会「スフィア基準」

5月25日 王寺町リーベルホールにおいて、令和7年度奈良県防災士会総会後に岡山大学教授 原田奈穗子氏をお招きして研修会が行われました。

テーマは【スフィア基準】(災害や紛争の被災者が尊厳ある生活を営むための人道支援活動における最低基準のこと)。私たち防災士会のように防災に携わる者としては、災害対応における基本原則と普遍的な最低基準として、世界中で最も広く認識されており、内閣府防災が避難所の生活の質を上げるために参考にすべき資料と定められているということを認識する必要があるものです。本研修では人の形をしたイメージイラストを基に分かりやすく教えていただきました。

様々なお話が合った中で印象に残ったのが、避難所で支援を行う際に〔支援を受ける人(受益者)のニーズに合った支援をしているか〕についての調査を行った場合、支援する側の肯定的回答は90%以上であるのに対し、受益者側の回答は10%足らずであるということ。支援する側は自分のできることを精一杯行っているという事実があっても被災して様々な課題や疲労を抱えながら支援してもらっているというありがたさの中でなかなか自分が思う支援をしてもらえていないという数字の乖離があることに改めて気づかせていただきました。だからこそ、「人道支援の必須基準」の九つのコミットメントに含まれる〔支援を受ける人の意見を受けたか〕、〔支援を受ける人のクレームに対応しているか〕など、このスフィア基準を徹底することが必要であることを感じました。災害列島で防災活動に取り組む私たちにとって、とても意義深い研修となりました。  <報告:岡本防災士>

 

王寺町やわらぎ会館にて、石川県防災士会大月副理事によるグループワーク研修に参加5/17

2025年5月17日(日)、王寺町やわらぎ会館にて、石川県防災士会の大月副理事をお迎えし、「過去の災害事例を基に、災害発生時の避難所対応策と事前準備について」のグループワーク研修が実施されました。本研修会には、奈良県防災士会の役員・事務局員、災害ボランティア登録者、王寺町防災士ネットワークの方々を含む計23名が参加しました。また、この研修プログラムは、今後の進め方を模索するためのテストケースとして位置づけられており、研修資料についても「工事中」である旨が講師より報告されました。研修では、被災避難所で実際に起こった事案を課題(ケース)として定義し、それに短時間で向き合い、議論を通じて解決策を導き出しました。参加者全員が真剣に課題へ向き合い、協力して議論を進めることで、大変有意義な研修となりました。さらに、大月先生による説得力のある体験講話は、未経験の参加者にも深く伝わる内容でした。実際の災害対応の重要性を学ぶ貴重な機会となり、今後の防災活動へ活かすための示唆に富んだ研修となりました。<報告:大坂間防災士>

 

香芝市防災講演「みんな(男女)の視点で考える防災)

さる4月11日(金)、香芝市総合福祉センターにおいて香芝市「人権を確かめ合う日」が開催されました。この人権を確かめ合う日は県内各地で開催されているもので、今回は香芝市の要請を受けて避難所運営や自主防災会活動において男女共同参画の視点から「みんな(男女)の視点からの防災」と題して話をしてほしいとの依頼を受けて植村相談役が赴きました。植村防災士からは、能登半島地震への支援活動から見えてきたものとして、避難所の現実、被災地の実態等を報告するとともに、女性が自主防災活動や避難所運営に携わるのは、日頃からの行動が大事であることを中心に講演を行いました。参加された方々は熱心に聞きながらメモを取る等、この課題への熱意が伝わるひと時となりました。

<報告:植村信吉防災士>

 

平群町防災講演会 避難所運営ゲーム(HUG)

令和7年2月27日(木)14時から16時まで、平群町総合文化センターくまがしホールにて平群町地域自主防災組織連絡協議会防災講演会「避難所運営ゲーム(HUG)」を開催いたしました(5班構成)。本日のテーマとしては参加者が自らの地域で「避難所運営ゲーム(HUG)」を開催し、防災意識を高めることに寄与することを目的としました。理事長よりスライドにて過去や最近の災害地の写真等で災害の凄さを再認識し、次に避難所運営ゲームの説明、その後ゲーム開始となり15時過ぎにゲームは終了。振り返りタイムでは各班での困りごとや対応方法をそれそれの班から発表し、末田理事長からコメントして頂きました。各班から出た項目は「病人」、「同行家族としてのペット」、「トイレ」、「喫煙者」、「バスツアー外国人」、「掲示板の記載」、「各イベント」、「ホームレス」、「炊き出しコーナー」等でした。皆さんが楽しく熱心にしておられたのが良かったです。<堀田防災士>

令和6年度 奈良県防災士会 研修会

2月24日(月・祝)王寺町地域交流センター(リーベルホール)において令和6年度防災士会研修会が2部構成で実施されました。今回は奈良県との共催で、合計145名の参加がありました。末田理事長の開会あいさつの後、第1部は八木沢理事より「能登半島地震支援報告」と題して、昨年元旦の発災以降、奈良県防災士会として行った支援について報告がありました。第2部の研修は石川県防災士会副理事長 大月真由美様より「能登半島地震!そして豪雨!~能登の現状と私たちの支援活動~」をテーマに講演をいただきました。講演に先立ち植村相談役から、「奈良県防災士会が支援に入った珠洲市で継続的に支援に入っておられた大月様から多くを学ばせていただいた事」、「お仕事と支援活動でご多忙の中で駆けつけていただいた事」、「リアルなお話から私たちが考えなければならないことに関するヒントがたくさんいただけるであろう」との紹介がありました。発災直後の現地は道路の寸断のみならず、海岸線の隆起により港が使えず「支援に入りたくても入れない状況」であったことに触れられ、多くの避難所が開設されている珠洲市への避難所運営のお手伝いに入ることとなった経緯についてお話がありました。私たち防災士の活動は自己完結が原則である中、少し意外であったのは、避難している方から一緒に食べることを勧められたら、状況によっては一緒に食べてもらうほうが良いことについてのお話でした。避難所にいる人同士だと、自分のしんどさと同様の思いの人にはなかなか本音を言えないということを伺うととても納得できるお話でした。全体を通じて、参加者のみなさんが熱心に聞き入る姿が印象的でした。ライフラインの復旧もままならない中で、即時対応を求められることや、衛生上の習慣をつけるための具体的なアイディア、そしてストレスのたまるであろう子どもたちを頼りにすることで彼らの自己有用感を刺激しながら避難所の安全安心を確立されていった姿に、私たちが考えなければならないこと、そして頑張らなければならないという勇気をいただけたご講演でした。    〈岡本防災士〉

都祁中学校防災学習(HUG)

令和7年1月16日(木)、奈良市立都祁中学校において二年生(3限目4限目)と一年生(5限目6限目)を対象とした防災学習が行われ、都祁地区自主防災会長でもある末田防災士が「HUG(避難所運営ゲーム)」を行いました。都祁中学校では年数回の防災学習の一環として、この時期に毎年HUGを実施しています。

2年生は2回目ということもあり、効率よく段取りを進め、1年生は全員が一緒になって考えながら取り組んでいました。通常HUGはPowerPointを使って説明を行いますが、授業時間内で短いこともあり、例年口頭だけで説明をしてゲームを行いながら慣れていってもらう方法で行っていますが、対応力の高さと独創的な考え方には感心させられます。

都祁中学校は市の指定避難所(二次避難所)になっていて、中学校が避難所になるときは大変な状況に宇陥っていることが予想されます。面積の割りに人口が少なく高齢化が顕著ですので、昼も夜も都祁にいる中学生を頼りにしていて、生徒達も自分たちが役に立てることを実感してくれています。いつもながら新しい発見があり、都祁の安全のための有意義な一日となりました。

<末田政一 防災士>

               

               

 

都祁地域合同防災訓練

令和6年12月1日(日)大和高原都祁地域において、都祁地域4地区の自主防災会と消防団の合同で「都祁地域合同防災訓練」が実施され、約200名の参加をいただきました。奈良県防災士会からは都祁地区の自主防災会長でもある末田防災士と都祁地区の防災士が参加しました。都祁地域には4つの旧小学校区に各一次避難所がありますが、今回は大災害を想定して2次避難所の都祁中学校を会場として実施。災害時には自主防災会会長をはじめほとんどの役員が一次避難所を担当しているため、2次避難所は慣れていない方が集まることが予想されます。今回の訓練では予め何の準備もせず、住民集合の9時から一斉にスタートだったので、もちろん受付も何もなく、初めての方はその時点で戸惑われていました。一応役割分担とタイムラインを冊子で全員に配布しましたが、体育館には机もスリッパも何もなく、自分たちで考えながら、全員が班分けのリボンを付けて手分けして避難所を開設しました。総務班と情報班は受付を設置、施設班は体育館に一人分の区画割りを養生テープで行い、物資班は非常食の配布。救護班も役割をこなし、全員が協力することで予定の45分間で避難所開設が出来ることが証明されました。

都祁消防団は早朝から都祁全域をパトロールと訓練の広報を行い、その後避難所に駆けつけて、広報指導分団の講義と防災○×クイズを担当。○×クイズでは全員に景品もあり盛り上がりました。消防団との連携テストでは、消防団と自主防災会のデジタル簡易無線が繋がらず、奈良市消防団で秘話コードが設定されていてお互い繋がらないことが判明し今後の対応に繋がりました。山間部は孤立の恐れがあるため、初動時は自分たちの地域だけで対応をする必要があります。今回はコロナ禍で久しぶりの方や初めて参加の方も多く、有意義な訓練となりました。

<末田政一 防災士(都祁)>

「能登半島地震・豪雨災害~支援活動から見えてきたもの~」

平群町社会福祉協議会の依頼を受けて社協職員の方々を対象に植村信吉防災士がプリズム平群において防災講演を行いました。テーマは、「能登半島地震・豪雨災害支援活動から見えてきたもの」です。社協職員の方が対象ということで、発災時に災害ボランティアセンターを運営する側の様子や福祉サービス提供者として現地の状況を伝えてほしいとの要望でした。ただ、能登での支援活動ではそこまで詳細なことはわからいとしながらも、避難所での支援活動の様子や被災者の方から直接聞いた話などを伝えながら、現地で感じたことを講演として話しました。参加した職員の方々は、非常に熱心に講演を聞いておられるとともに「災害に備える」のは自分の事と理解されていましたし、何より発災直後は、「隣・近所が頼り」として自分が支援している人たちの隣・近所で事前に頼んでおく事の大事さに気づかれたようです。

<報告:植村信吉防災士>

川上村東川地区避難計画書(地区防災計画)作成(8垣内分)

令和6年10月26日(土)川上村東川(うのがわ)地区において地区防災計画の作成が行われ、奈良県防災士会から9名の防災士が参加しました。地区防災計画の手本にしたいとのことで、県からも視察に来られました。取り組みにくい感じのある地区防災計画ですが、今回はまず避難計画を作成して、その後に要支援者プランや避難所開設運営と分けて作成してもらうことで無理なく取り組んで頂けて、手作り感のある良いものが出来ました。

今回の工程は、まず6月に打合せののち、7月に住民に向けて最初の説明会を行い、9月に防災士7名が住民の皆さんと歩きながら、危険箇所や一時避難できる場所などを調査した結果を地図にまとめ、地域の特性や社会の特性、垣内ごとに避難計画を文章にまとめたものを住民主導で作成しました。この後は役場の協力を得て活字清書と印刷をした冊子を全戸配布して、最後にまとめの説明会を実施する予定です。

避難計画の作成はもちろんですが、なにより住民の皆さんが改めて地域の事を考える切っ掛けになったことが良かったと思います。東川地区は伊勢湾台風の際に大きな被害を受けていて、ほとんどの地域が土砂災害警戒エリアにあり、避難が遅れると孤立してしまう集落も多くあります。今回の避難計画が生きた計画になるように、また繰り返し作成頂けるような練習の機会になりました。

<末田政一防災士>

令和6年度奈良県防災総合訓練 リアル避難所開設・運営訓練、医療アセスメント訓練

令和6年10月20日(日)奈良市都祁生涯スポーツセンターにおいて、令和6年度奈良県防災総合訓練が開催されました。奈良県下から80機関が参加して被災地訓練と避難所訓練が行われ、奈良県防災士会は六郷地区自主防災防犯会の45名が「リアル避難所開設・運営訓練及び医療アセスメント訓練」に取り組まれるのを支援しました。訓練指導は末田理事長が務め、奈良県防災士会の防災士23名は運営本部のサポートや避難者役、在宅避難者のサポートなどを担当しました。

避難者受入では居住スペースがほぼ埋まった頃に要介護5の高齢者が毛布担架で担ぎ込まれて対応に苦慮する場面や、在宅避難者対応で電話が繋がらないなかでの連絡方法をどうするかなど、被災地で起こり得る課題がリアルに再現されました。振り返りで末田理事長は「六郷地区の皆さんは訓練前訓練の甲斐もあって、とてもよく頑張られました」と評価されました。六郷地区自主防災防犯会の牧田会長は「これまで自分達のところで災害は起こらないと思っていたが、訓練を通じて地元でも災害は起こるかもと考えるようになった」と締め括られました。今回の一連の訓練が六郷地区の皆さんにとって「災害を自分事として考える」きっかけになっておりますように。  <報告:小山防災士>