東日本大震災レポート(No.4) ~岩手県大船渡市~

 
 田原本町の柏田防災士から岩手県大船渡市でのボランティアレポートが届きました。
柏田防災士は、奈良県支部の役員でもありますが、今回は「うみもりの会」の一員として、5月3日~6日まで岩手県へ入られました。
以下、柏田防災士のレポートは以下のとおり。
東日本大震災が発生して以降、自分でなにかできないかと地元町役場の社会福祉協議会等に「義援金を送りたい」「支援物資を持って行きたい」等相談しておりましたが、”うみもりの会”の仲間から義援金・支援物資を持って岩手県大船渡市へ行く話を聞き、早速、参加いたしました。
まず、自分の地域や近隣の町(植村事務局長の協力)で支援物資(Tシャツ、化粧品、鍋、台所用品等)を集め、お陰さまで軽トラ1台、2tダンプ1台分集める事ができました。
また、この支援物資を中継地の京都まで運ぶ際には、奈良県支部の木村副支部長始め植村事務局長、南上次長にご協力頂きました。
5月3日、早朝に大船渡市に到着し、現地ボランティア佐々木さんの案内で被災地を回ることになりました。
臭い、静か、人がいない・・・
あるのは、グチャグチャになった建物だけ。
胸の締め付けられる思いでシャターを押したことを鮮明に思い出します。


その後、支援物資をおろして仕訳けに入るのですが、現地のボランティアスタッフの素早さに驚かされました。
碁石海岸というところでは、豚汁300食、子供向けの綿菓子などを食べてもらいました。

また、物資配布は、並んで時間を決める、というやり方で、服はハンガーにかけて自由に持ち帰りOK
とか、フリーマーケット風に並べておいて、自由に持ち帰りというスタイルでした。
皆さん、喜んで持ってかえられました。

支援物資の配布でユニークだったのは、おもちゃ!
子供向けのおもちゃなので、ビンゴゲームで配布。
鍋はじゃんけんで配布でしたが、ものすごい勢いで持って帰られてました。
90戸の内、3戸だけ助かったという地域では、豚汁300食、カレー300食用意。
途中、
「夕方、鍋を持って65人分お願いします。」
と、言われて右往左往・・・
現地スタッフとセッテングがうまくいかなかったのかも?
テントで現地の方と少し話をしましたが、
「ボランティアの人がVサインで写真を撮ってるのには、腹がたって、腹がたって・・」
と、申されてました。
現地では、被災した方のお家の片づけもしましたが、その家の方がこられて、涙を流しながらお礼を言って頂いたとき、胸にグットきました。
6日、大船渡から気仙沼を回って帰ってきましたが、気仙沼で、一人の娘さんが倒壊した自宅の前でで、ずっーと立ち続けておられた姿が今も心に残ってます。
最後に、私たちの宿泊場所(公民館)を現地と交渉して用意して下さった千葉(現地消防勤務)さん、この支援行動を企画された菊谷さんには言葉で言い表せないくらいお世話になりました。
ありがとうございました。
◆ 炊き出し
5月3日、大船渡市碁石海岸  豚汁300食、綿菓子他
5月4日、大船渡市赤崎町  豚汁300食、カレー300食
5月5日、大船渡市「福祉の里」 綿菓子

東日本大震災レポート(No.3) ~仙台市内避難所~

 
 天理市の藤本昭広防災士からレポートが届きました。
藤本防災士は、柔道整復師として宮城県仙台市内の避難所5ケ所を柔道整復師、助手の5名で回って、主に避難者の治療を行ってこられました。
以下、藤本防災士のレポートを掲載します。
<訪問日時>
平成23年5月23日(月)~25日(水)
<訪問した仙台市内の避難所>
宮城野区、宮城野体育館(避難者数 265名)
 〃   、田子市民センター(避難者数 94名)
 〃   、高砂市民センター(避難者数 112名)
 〃   、岡田小学校(避難者数 220名)
若林区、荒町市民センター(避難者数 39名)
※ 避難者の数字は、4/30現在
<届けた救援物資>
衣料品 ダンボール22箱
新米 60K、缶詰他 ダンボール3箱

上記5ケ所にて、柔道整復師として、のべ94名の方の治療を行いました。
長い避難生活で、足・腰・膝などを痛められてる方が多いことに驚きながらも、治療をさせて頂きました。
加えて、県や市行政への様々な要望をお聞きしたので、宮城県防災課へ報告をいたしました。

<避難者の方々の声>
避難所では、木材・コンクリート等のガレキ除去や、家屋倒壊の処理等で多くの人の支援を求められておられました。
今のままでは、自宅に戻ることもできない。
また、これから季節が夏に向かうので、新たに夏物の衣料等も必要、との意見を多く聞きました。
私が防災士と聞き、救援活動を通して各地域で防災活動に頑張ってほしい、との声も頂きました。

今後、防災士=救援活動を通じて、防災士としての役割を果たしていきたいと思います。

東日本大震災ボランティアレポート(No.2) ~気仙沼~

 

 東日本大震災で現地へボランティアとして参加した山口防災士(広陵町)からレポートが届きました。山口防災士は奈良県が募集した「災害ボランティアバス」で気仙沼市へ行かれました。
以下、山口防災士のレポートを掲載します

平成23年5月20日(金)~23日(月)にかけて、現地2泊車中2泊で宮城県気仙沼市へ奈良県災害ボランティアバスに参加した。

 気仙沼市は、宮城県の北東端に位置し、東は太平洋に面し、南は宮城県本吉郡南三陸町、西は岩手県一関市、藤沢町、北は陸前高田市に接する。

(1)市の面積は、333.37平方キロメートル、人口は、73,363人※平成23年3月末の住民基本台帳から

(2)被害状況

 死 者 数    905人(5月1日現在)

 行方不明者数 1,008人

 市内の避難所数   58か所

 避難者数   5,250人(4月28日現在)
5月20日(金)18時30分に近鉄高の原駅を出発し、名神自動車道、北陸自動車道、新潟から磐越自動車道、郡山から目的地の東北自動車道一関ICまでの約930kmを13時間かけ気仙沼市へ

 

 さて、一関市から気仙沼市へは、班ごとにレンタカーに乗り換える。ヘルメット、ゴーグル、サージカルマスク、作業着、長靴に着替え、作業荷物を積んだら出発だ。作業着の上には、奈良県の災害ボランティア隊名入りのベストを着用する。班長は、黄色のベストで我々はオレンジ色のベスト、県のスタッフは、黄緑色のベストだ。サージカルマスクは、建物の倒壊でアスベストが舞っているので付けるよう指示があった。また、長靴は釘などを踏み抜け防止のために鉄板敷きを推薦されていた。ボランティアセンターでは、けがによる破傷風を心配している。

 

 一関市から気仙沼市へは、レンタカーで50kmを約1時間かけて現地へ向かう。行き先選定は、仙沼市ボランティアセンターが、被災者宅の希望と災害ボランティアの希望とを結ぶあわせる役目をしている。これをマッチングという。目的地の住所をナビに入力し、ナビに従ってひたすら走るのみである。現地ではトイレがないので、途中のコンビニでトイレを借りた。店長に話を伺うと、「あと20分も車で走ると、津波に襲われた街が見える。」とのことであった。

 

 突然、テレビや新聞で見たことはあるが、現実に流された材木、家、ひっくりかえった船、車など壊滅した気仙沼市街が見えてきた。そして、5人が一斉に「えー、」と絶句してしまった。

 車は9時に目的地へ到着した。私たちの任務は、被災された佐藤さん宅の泥だしだ。佐藤さんのお宅は海から1kmぐらい離れているが、津波に流され家はない。あるのは、家の土台だけだ。そして、庭には、近くの水産加工会社から流れてきた生ワカメの入った約10kgのダンボール箱がヘドロとともに散乱している。付近をよく見ると青いビニール袋がいたるところに散らばっている。この青いビニール袋の中に生ワカメが入っているのだ。もう2か月以上経っているので、腐って蛆がわいている。腐った生ワカメの臭いもものすごいものだ。

 本日は、4班20名が佐藤さんのボランティアをすることになった。

今日は、快晴で気温が高いせいか、ヘルメットから汗がぼとぼとと落ちていく。サージカルマスクの中も汗で息苦しい。蛆のわいた生ワカメの袋を4台の手押し車にのせて次々とゴミ捨て場までもっていく。20人で5時間かけて佐藤さんの家は見る間にきれいに片付いた。

佐藤さんの10m上の隣家は津波の被害を受けていない。津波が襲った場所とそうでない場所とでは、雲泥の差があるのだ。津波が襲った家は壊滅である。

泥の中から出てきたアルバムや賞状は、家族にとっては思い出の品物である。

汚れているからと判断して勝手に処分してしまわないことだ。

 午後3時に佐藤さんの奥さんに作業状況を見てもらい、次回も依頼したい時は、ボランティアセンターへ申し出る。ボランティアセンターから借りた道具があればセンターへ返し、作業終了報告をして、すべての作業が終了となる。

 現地にはトイレがないので、休憩時間に車でコンビニ等のトイレを借りなければならない。4班のお昼の休憩場所は、国道45号線沿いの「花の道」というパーキングエリアにした。そこは敷地内に仮設気仙沼警察署と屋外トイレ、外で昼食がとれるテーブルとイスがあったのでちょうどよかった。

 

3 2日目のボランティア

 2日目は、昨日と代わって、朝から雨が降っていた。1、2、4班の15名は、気仙沼市内のコーポ渡辺へ、 3班は、みのや商店へという予定であったが、雨のため両方ともいったんキャンセルとなった。そして、ボランティアセンターに9時に集合し、再マッチングすることとなった。ボランティアセンターでは、個人ボランティアが全国から集まっている。ボランティア登録をすませ、背中に自分が望むボランティア作業を書いたゼッケンをガムテープで貼っている。たとえば、「そうじ」、「泥だし」などと書かれたゼッケンを見て、マッチングがおこなわれる。

ボランティアセンターには、全国の社会福祉協議会の職員が交替で詰めており、センターのスタッフが、依頼主の家まで車で送ってくれる。センターのスタッフは、送迎、巡回、道具の配達などを通じて、依頼者のニーズとボランティアの進み具合をチェックしているのだ。ちなみにセンターで、道具の貸借担当の腕には、「大阪府柏原市社会福祉協議会」と書かれていた。


我々15名は再マッチングの結果、結局コーポ渡辺へ行くこととなった。

コーポ渡辺は、気仙沼湾から700m離れているが、2本の川に挟まれており、津波は川を遡上し襲ってきた。コーポ渡辺は、2階建て6戸の共同住宅で、1階3戸が津波の被害にあった。

2階の床まで津波が来たといっていた。所有者の渡辺さんは70歳ぐらいの方で以前まぐろ船に乗っていたという。3月11日当日、ここのコーポ渡辺にいた時に地震に遭い、テレビのニュースで大津波が来ることを知り、一目散に高台へ避難したという。幸い、コーポ渡辺の住民の方も無事であったということであった。

 渡辺さんがボランティアを頼んだのは、これが3回目で、街中の道路やコーポ渡辺の周囲も木材やがれきで埋まっていたという。2ケ月かかってやっと道路もコーポの周りもがれきが撤去できたのだという。

 

 コ-ポの床は剥がされて、石灰が蒔かれてあった。我々の作業は、1班1戸ずつに窓ガラス、網戸、壁を清掃することだ。2階には、避難所へ行くより自宅の方が良いと住民が住んでいる。しかし、下水が復旧していないので、あまり流さないように市から指導を受けているそうだ。さっそく窓ガラス、網戸を外し、石けんで洗ったが、レールやサンの間に泥が詰まり、水の力で吹き飛ばせなければ取れない。窓ガラスもガラスが割れて変形している。玄関ドアも変形して閉めることができない。本日は4時間かけて清掃をすることができ、渡辺さんも喜んでいただいた。

 渡辺さんに、「コーポの写真をとってもいいですか?」と聞くと「ええ、いいですよ。」といってくれたが、写真撮影には、注意が必要だ。私は、休憩時間に津波が遡上した川の写真を撮っていたが、「被災者の方の家は写さないようにしてください。」と付近の方の忠告を受けた。被災者の家を撮るつもりはないが、カメラをもってうろちょろするのは誤解を受けそうでやめておいたほうがよさそうだ。

 

 最後に

 東日本大震災で被害を受けられた方々にお見舞い申しあげますとともに、これから大変ですが復興を願っています。

 今回、長い復興の道のりの中のほんの2日間お手伝いさせていただいた。ここで得た体験を関西でも伝え、さらなる支援を広めたいと思う

防災研修 「防災講演とクロスロードゲーム」

  平成23年6月5日奈良市防災センターで、講師の先生方含め総勢51名て防災研修を行いました。支部防災士の伊藤 東洋雄さんのご紹介で、神戸防災技術者の会・クロスロード研究会から講師として来ていただきました。
第1部 講演の部  講 師     片瀬 範雄さん 
                      神戸防災技術者の会(元神戸市都市計画部長) 
                      NPO都市災害に備える技術者の会                 
    「阪神・淡路大震災で学んだこと、そして東日本大震災からの復興を願って」
      
   
 紹介者の伊藤 東洋雄さん(支部会計監査)      講師の 片瀬 範雄さん
   
    神戸市で片瀬さんが実行した業務        様々なことを乗り越えて
 「阪神・淡路大震災では、学生ボランティアの方が1月下旬から4月下旬まで、被災現地でずっと支援活動を続けてくれました。たいへん感謝しています。そのボランティアの力が大きかった。」
「南海・東南海地震を想定した場合、奈良県が被害が少なかったら、近隣の他府県に奈良から支援応援に行く立場であることをお願いしたい。」
第2部 クロスロードゲーム  ファシリテーター  浜  尚美さん
                          神戸クロスロード研究会理事(元神戸市職員)         
                   コメンテーター    青木 利博
                          神戸防災技術者の会(神戸市水道局東部センター長)
                                片瀬 範雄
                             神戸防災技術者の会
       
        浜 尚美さん                     クロスロードカード
    
                                         青木 利博さん
 未曾有の災害に直面した神戸市職員が対応に悩み、苦しんだ事例を短い設問にまとめ、ゲーム形式の研修としたものが、クロスロードです。参加者は、その事例を自らの問題として考えYes/Noで自分の考えをを示し、その背景となった経験や考え方と知恵の交換・共有を行う研修です。
第3部  まとめの部    報告者   井上 清さん  (支部教育研修部会長)             
                     「奈良市災害ボランティアに参加して」  
                 報告者   山口正春さん (支部教育研修部)
                     「奈良県災害支援ボランティアに参加して」 
    
        井上 清さん 
  後日、報告書は全文ホームページに掲載します。
        山口 正春さん